MESSAGE第5話『訪れた真実』

トルーパー達と出会った事で変わりつつあるすずなぎ。
最早彼女の心に、
輝煌帝で世界を滅ぼそうとする執着は無くなりつつあった……


一方、4人の仲間を失ったリョウ。
無謀にもすずなぎの元へと乗り込もうとするが、
ナスティに静止される。
戦えるの?間違っているのは私達の方かもしれない……と。


ナスティの静止を受けたリョウは、自分の部屋へと戻る。
リョウは部屋で留守電……にしては妙に長いけど、
とにかく4人が封印される前に残した、
リョウへのメッセージを聞く。
トウマからは自分達の事が予言されいた台本に人の思いを感じ取り、
その心に悩み、空回りする自分。
鎧との関わりを終わらせるにはどうしたらいいのか?という苦悩が。
シンからは、鎧の世界を変えられないのなら、
せめて自分の考えを持ちたいという思い。
そしていつか答えが見つけられるいいなという望みが。
シュウからは戦いへの迷いが。
セイジからは人の歴史と鎧が密接した関係であること、
鎧なくして語れぬ歴史……その中にあった人の心を信じたいという思いが。

しかしセイジ……
いきなり「信じていいと思う。」
はメッセージとしてどうかと思います。
そういう人付き合いの苦手さがセイジらしいが。
4人のメッセージを聞いたリョウは、
敢てすずなぎの元に乗り込む。
今回の事件を終わらせる為に……


一方国際会議の会場上空、
繰り広げられる鎧武者達の戦い。
鎧世界が再び人間界に干渉しようと言うのか?
この現象に、各国代表達は力で対抗しようとする。
その会議に参加していたナスティ。
トルーパーと共に、これまでの戦いを体験してきたナスティは、
トルーパー5人から勇気を貰い、この考えに異議を申し立てる。

新宿へとやってきたリョウを、すずなぎが出迎える。
これまでの様に、リョウを取り込もうとするわけでもなく。
やはり輝煌帝への執着が薄れつつあるのだ。
リョウはすずなぎに、烈火の鎧を武装させてくれと願う。
自分を信じてくれ……俺も皆を信じている……
すずなぎの望みであった、5つの鎧を揃えさせようと言うのだ。
リョウが何をしようとしているのかわからない。
だがすずなぎは言われるまま、封印された4人と共に、
烈火の鎧をリョウの前に差し出す。
すずなぎは言う
トウマが過去の過ちに気づいたと、
シンは(鎧との関わりに)希望を見出せなかったと、
シュウは終わりのない戦いを認めたと、
セイジは戦いを、心を拒否したとリョウに告げる。
そして問う。
リョウは自分の怨念で作られた鎧を以って、
何を導き出そうとするのか?
それに対しリョウは、その答えを、
そしてすずなぎの迷いに対する答えは鎧に聞こうと返す。
リョウはこれまでの戦いで、
人間を……ひ弱な、臆病な、哀れな人間を
自分達の中に感じたと言う。
そんなリョウが、すずなぎに齎そうとする答えは一体!?

すずなぎは自ら武装しようとするリョウへの手向けとして、
自身の手でリョウに鎧を着せていく。
人は追い詰められる度に争い続けるだろう。
恨みは簡単に生み出される。と呟くリョウ。
そしてすずなぎとリョウの問答が始まる。
リョウはすずなぎの呟きに自身を持って応える。
「失いました」「戻ってはこない」
「忘れられません」「振り返るな」
「傷は」「癒える」
「涙は」「渇く」
「我が恨みは」
「しかと見届けてくれ。砕いてみせる、鎧と共に」

こうも逞しく答えられる。リョウの心の成長が伺えるシーンである。
烈火の鎧を身に纏ったリョウ。
リョウは封印された4人に呼びかける。
サムライトルーパーよ!心をここに一つとせーん!」
すずなぎの目的であった、輝煌帝を呼び出す為に、
リョウは4人の鎧の力を借りようとする。
まさかすずなぎの願いを聞き届け、全てを破壊しようと言うのか!?
4人の力がリョウの元に集まり、辺りは光に包まれた……


輝煌帝を呼び出すのに力を使い果たしたか、
武装が解除されたリョウ。
そんなリョウの元に、鎧に封印されていた4人がやってくる。
彼らもまた、すずなぎの鎧から解放されていた。
リョウは輝煌帝の力を破壊の為ではなく、
とある場所へとすずなぎを導くために使った。
此処にすずなぎを救う答えがあると信じて。
すずなぎが辺りを見回すと、そこには無数の墓が。
すずなぎはそこで、人の歴史と鎧との関わりを垣間見る。
鎧の力を拒み、鎧の力を私利私欲の為に使おうとする者の手から、
鎧を必死に守り抜いてきた人々の歴史を……
その歴史を見たすずなぎ……何かの救いが見つかっただろうか?
いや、残念ながら……繰り返される悲劇、苦悩。
そのような事に哀れむ心はなどはとうに持たぬと。
人の心は所詮傷の舐め合い、生み出すは哀れな屍の山。
と言い放ち、
似つかわしい、作ってしんぜよう。5つの新たな墓を此処にと叫ぶ。
今のすずなぎには、この場所の、
此処に眠る人々の思いが理解できないでいた。
そこへ白炎がやってくる。
とある人の墓参りに、一輪の花を加えて。
その花を見たすずなぎは、
白炎が花を飾った墓が、自分の母親の墓であることに気づく。
すると、すずなぎの前に母親の魂が現れる。
母はすずなぎの悲しみが、苦しみが、
すずなぎの怨念を生み出した事を仕方ないと言う。
その小さな胸では仕方がないと。
小さな胸と言うのは貧乳と言う意味ではないですよ?
すずなぎは幼い頃に、
第4話にもあった悲劇を体験した。
幼い故、その悲しみ、苦しみから怨念を抱いてしまった。
母はすずなぎに、
ここが鎧を拒んだ者達の墓であることを改めて教える。
すずなぎは此処に眠る者達を、
何も認めさせず、何も生み出さず、
哀れな死を選んだ者達と思っているようだ。
母はそれを否定しようとはしない。
だが一つ、すずなぎが気づかなかった彼らの思いを付け足す。
彼らに人を恨む心はないと。
何故!?すずなぎは驚く。
自分と同じ鎧の犠牲になった者達が、自分とは違うことに。
母は言う。彼らは人を愛していたと。
人を愛していればこそ、

愛を力にできた者達がここに眠っていると。
鎧の力を悪用せんと、それこそ命をかけてまで、
彼らは守ろうとしていたのだ。
愛は計り知れぬ力を生み出す。
だがその力は恨みへと力を変える事もしばしば。
と母は言い、すずなぎの愛を哀れむ。
最愛の母を失ったすずなぎ。
その母への愛情が、
母を殺したものへの憎しみへと変わったということか。
そんなすずなぎの為、
自分の愛を、鎧の片隅にそっと残したという母。
第3話で見えた母親の映像の正体はこれであろう。
すずなぎに訪れた真実。
すずなぎは幼い頃の姿に戻り、母に抱きつく。
すずなぎは両親を失った自分に愛する人はいませんと泣きついて。
死後の世界とは言え、再び母親に出会えた事で、
すずなぎの憎しみは浄化され……
母は、遠い地からトルーパー5人にお礼を言う。
すずなぎを救ってくれた事に。


トルーパー達は再びすずなぎの鎧を身に纏っていた。
その鎧は、これまでの怨念の鎧ではない。
すずなぎの怨念が浄化された鎧であった。
新たな鎧を手にしたトルーパー達。
嘗ては否定した彼らであったが、
こうして再び鎧を身に纏う事となった。
正直、鎧からは逃れられないと諦めているのかもしれない。
だが彼らにはこれまでの悲壮感はない。
むしろすがすがしい表情であった。
白炎に墓参りを頼むシュウ。
これは自分達もあの地に眠る人々のように、
人々を愛し、鎧の力を正しく使おうとする決意であろう。
まずは5つから。
サムライトルーパーの名に恥じぬ歴史を作ってみせる。
愛ある限り、心のままに……

すずなぎは彼らに未来を託し、成仏して逝った……
こうしてすずなぎの怨念による事件は解決した。


そして……
剣道大会に出場する純。
彼もまた、ナスティ同様トルーパー達の戦いを経験してきた者。
トルーパーを見習い、立派に成長していくことであろう……


というわけで、サムライトルーパー完結!
……いや、最後にシンも言っていたが、
これからが彼らの始まりかもしれない。
鎧を正しく使ってくれる者を探し続けたカオス。
彼の思いは成就されたと言ってもいいだろう。
いや、むしろ、
カオスはすずなぎと出会った際、哀れと思い成仏させようとした。
だがその方法は力尽くであった。
それに対し、トルーパー達は力尽くではなく、
こうしてすずなぎを救うことができた。
これはトルーパー達が師匠であるカオスを超えたと、
カオスの想像以上に育ってくれたという事ではないだろうか?
そんな彼らが目指す未来……

結局、鎧に対する明確な答えは導き出せなかった。
いや、そもそも、
そんなものが容易く導き出せるのなら苦労はしないか。
鎧が人の怨念から生み出されるのだとしたら、
鎧世界を拒絶する=怨念をなくす事が、
どれほど難しい事かは自分達が体現してきていること。
だがトルーパー達はこれからも頑張っていくであろう。
そしてナスティや純のように理解者が増えていけば、いつかは……
個人的に、MESSAGEで一番注目すべきは、
ナスティや純だと思う自分。
腐女子向けと一蹴されがちなトルーパーではあるが、
この作品を通じて、ナスティや純のようになってくれれば。
それがこの作品に秘められたMESSAGEだと思う。
なんてな。
うん、まぁ、
個人的にそういうの押し付けるのはあれだと思うし、
皆が思うように感じてくれればそれで。
って、今日までクドく感想書き続けた自分が言うことじゃないか。