MESSAGE第4話『さまよえる心』

都庁の中で、すずなぎは一人四季の詩を読む。
四季の美しさ……厳しさ……
移り変わる四季の様子。
この詩に込められた意味とはやはり……
すずなぎのさまよえる心?


自分の願いを叶える為に必要な鎧はあと2体。
光輪の兜を手に取り、すずなぎは何を思ふ。
ふと、すずなぎは背後に気配を感じ取る。
すずなぎを追ってやってきたセイジだ。
一瞬驚いたすずなぎだったが、直ぐに気を取り直し、
セイジに向かって何をお探しかと問う。
過去の自分に圧し潰された負け犬
暗闇の未来に打ちのめされた弱虫
理想を真実と取り違えたお人よし
と、トウマ、シン、シュウを嘲りながら。
セイジはけしてすずなぎと戦う為此処に来たわけではない。
セイジは、さまよえる心が私を此処に呼んだと告げる。


すずなぎは何故、
輝煌帝の恐ろしさを知りながら、それを欲するのか?
すずなぎが鎧世界の未来を感じ取ったと考えるセイジ。
何も変わらない、何も生み出さない。
人の心は時を忘れ、時代を忘れ、鎧を忘れる。
少しはわかっているつもりだ、理解している孤独を。
と、なにやらすずなぎと話し合いたい様子。
すずなぎが輝煌帝を欲する理由。
それは自分の様な者を出さない為、
輝煌帝でこの世から全て悲しみを消し去ろうというのだ。
セイジは確かに悲しみもなくなるだろう。
だが輝煌帝は都合よく悲しみを消してくれるわけではない。
夢、希望、そして未来。全てを消してしまうと、
失う事の悲しさを知っているであろうすずなぎを説得せんとする。

そんなセイジの態度に、すずなぎは自分の過去を見せる。
幼い頃の……自分の思い出を。


江戸後期開かれた舞台、鎧武者五人衆。
その舞台を演じる一座の中に、すずなぎの姿があった。
一座のみんなが舞台の準備を進めていた。

家族同然の役者のみんな。
そして母親との思い出……
だが、そんな楽しい日々が突如終わりを告げた。
都庁に似た、すずなぎ達の家とも呼べる建物……
すずなぎが今回都庁を拠点にしたのは、
自分のかつての思い出の場所に似ていたからなんだねぇ……。
そこへ突如船から砲撃が行われる。
燃え上がる自分達の家ともいえる舞台。
崩れる建物の中、取り残されるすずなぎ。
そんなすすなぎを守らんと、
母親がすずなぎに覆いかぶさるが……
一体何故、このような事になったのか?

その理由は公演していた鎧武者五人衆の内容にあった。
鎧の恐ろしさを予言し書かれたこの舞台。
だが当時のお上の目には、
それがお上を愚弄、恐れ多くも神の声として、
この世の終焉を喜ぶ舞台に映ったようで、
一座に幕府への反逆と言いがかりをつけてきたのだ。
尤も、すずなぎの衣装を見ればわかるとおり、
すずなぎ達はキリシタンでもあった。
色々と口実をつけて滅ぼさんという考えもあったかもしれない。
とにかく、お上の逆鱗に触れた一座は、
こうして皆殺しにあい……


後にすずなぎはこう思ったのかもしれない。
こうなったのは鎧の所為だと。
その怨念がこうして今、トルーパー達を苦しめる……
しかしま、以前のMESSAGE感想でも書いたけど、
鎧に恨みを持っているはずのすずなぎが、
同じく鎧世界の産物である輝煌帝に頼ろうとしているのは……
毒を以って毒を制すって事なのかもしれないが、
この世から悲しみを消したいという願いのすずなぎが、
輝煌帝を以って悲劇を生み出そうとしているのは、
なんともまぁ……
怨念は人の目を曇らせる……か?


光輪の鎧の中で、その悲劇を体感、
目の当たりにしたセイジは、
その非道に怒りを覚え、
一座を襲う者達を、光輪の鎧の力を以て一掃する。
前回、力に力で応えるは愚の骨頂と悟ったというのに……
全てが終わって、荒野と化した地で……
悪しき怨念の力……妖邪になって当然と、
セイジが妖邪となったと言い放つすずなぎ。
そう言われても仕方がない。
セイジが無闇に使ってしまった鎧の力。
その結果がこの荒野……まるで妖邪の所業のような跡地であった。
だがすずなぎは、
誰もセイジを咎められません、
セイジ自身にも咎めさせませんと、セイジを責めようとはしない。
それは自分を正当化する為……
ここで、感情に任せ力を使ってしまったセイジを責める事は、
即ち自分を
輝煌帝で全てを消し去ろうとする自分を否定する事と変わらないから。


すずなぎは勝ち誇ったように笑う。
前回は鎧に取り込もうとする前にセイジが悟り、
鎧に取り込む事に失敗したすずなぎ。
だが今のセイジなら……
先程の行動に負い目を感じている今のセイジなら、
これまでの3人同様、心の隙を突き、
鎧に取り込めるとすずなぎは思ったのだ。
光輪の兜を突きつけ、武装する事を強要するすずなぎ。
さぁ、さぁ!
……だが、すずなぎの様子がおかしい。
その目には涙がこぼれているのだ。
それはもう直ぐ自分の願いが叶うという喜びの涙ではない。
輝煌帝で全てを消し去る……
理由はどうあれけして褒められた決断ではない。
それぐらいすずなぎ自身も解っていた。
そんな馬鹿げた事にでも縋らなくては行けないほど、
すずなぎの心は壊れてしまったのだ……
自分のしようとしていることは間違っていると後悔するすずなぎ。
だが今更引き返せないと意地を張るすずなぎ。
二つの思いに揺れ、さまよえるすずなぎの心。
そんなすずなぎを見たセイジは、ある決心をする。
セイジの体が輝きだす。
すずなぎから光輪の兜を受け取ると……
セイジが何をしようとしているのか感づいたすずなぎは、
彼を止めようとする。
だが彼女の制止は間に合わず。
セイジは、自ら光輪の鎧に封印された……
すずなぎの思いを理解したセイジは、
自分には彼女を救うことはできないと感じ、
全てを仁の心……リョウに託した。
鎧に封じ込められたセイジの姿を見たすずなぎは、
涙し、崩れ落ちる。
自分を理解してくれた人を失った悲しみ……
自分がやってきた事への後悔……
だが、もう後には引けない。
残された鎧は烈火の鎧ただひとつ。
次回MESSAGE最終回『訪れた真実』
サムライトルーパーのリーダーとして、
仁の心は……リョウはすずなぎに何を齎すのだろうか?


と言うわけで第4話。
冒頭の1〜3話までのあらすじ、
そしてすずなぎの詩のお陰で、
感想文はそれ程長くはなりませんでした。
しかし、
相変わらずおいしいところを持っていくなぁ〜セイジ。
ま、仕方ないといえば仕方がない?
孔子の思想では、仁の次に大切とされる礼。
礼の心を持つセイジが、
仲間の中でも頭ひとつ抜きん出ているのは、
そういう理由があるのかもしれないのかなぁと思ったり。
少なくとも、MESSAGEのように、
ただ戦えばいいわけではない状況の場合、
礼の心というのは大切ではある。