MESSAGE第2話『知らされた未来』

夢の中佇むシン。
その目の前に置かれた5つの鎧が収められた箱が。
そしてシンの後ろでは苦しむトウマの姿が……鎧が。
不思議な、そして寝覚めの悪い夢を見たシン。


後日、トウマを除くサムライトルーパー4人が再び集まった。

同窓会……という雰囲気ではない。
「結構しつこいぜ……サムライトルーパーって奴もよ。」
シュウが漏らしたその言葉、4人は後々思い知らされる事となる……
4人が集まったのは他でもない。
トウマの件で……だ。
シンと同じくリョウ達もまた不思議な夢を見ていた。
そしてリョウは、みんなの前に、
トウマが失踪する前にリョウに送った手紙を、
そしてある書物を出す。


『鎧武者五人衆』……江戸後期に書かれた舞台の台本である。
トウマが残したその書物に書かれていたもの。
それは……自分達のこれまでの戦いと、とても酷似していた。
江戸の後期、数百年前に書かれた書物に……だ。
偶然!?いや、
妖邪の事に関しては、
現に1000年前にアラゴが人間界にやってきた事実がある為、
知っている人も居ただろう。
だが、カオスの作った9つのヨロイギアの事など、
普通では知りえないことまで書かれている。
これは何者かがトルーパー達の戦いを、
予め予言していたことに他ならない。
そしてそれが上演されていたのだ。
その事に4人は驚愕する。
……正直、前回のサブタイトル、
『解っていた結末』って今回に使った方がしっくりくるなと思ったり。


この書物に、シュウは怒りを覚える。
自分達の命を懸けた戦いを誰かが既に知っていた事実。
まるで自分達が踊らされていたなみたいじゃないか。
予言者だって?そいつは自分達のように苦しんだのか!?
自分達の辛さを知らない者が、
自分達の戦いを書いた事に怒りを覚えているようだ。


一方でシンは戦いを振り返り反省していた。
自分達が力を求めた結果、現れたかもしれない輝煌帝。
輝煌帝を呼び出してしまったのは自分だ。
力を求めてしまった……
戦う為、生き抜く為、力にすがり付いてしまった自分。
自分に力を持つ資格はないのではないのか!?
只反省し、そして自分を責めるシン。
例えこの台本のように予言者が居たとしても、
戦いが起こるのは必然ではあった。
カオスとアラゴ、1000年前から続く因縁の戦いが。
そして自分達が戦わなければならないことも。
その事に悔いはない……
が、やはり戦いを好まないシンは、輝煌帝伝説で遂に戦いを捨てた。
だがシンは感じ取っていた。自分に残された鎧の力で。
また何かが始まろうとしている事を。


今尚鎧の力が残り、鎧に囚われている。
シンはそんなトルーパーの運命に嫌気が差していた。
みんなと別れ、一人街を行くシン。
そんなシンの周りに異変が起こる。
人々の体から、妖邪と思われしものが飛び出し、
街中で戦いを始めた。
謎の敵は大群となってある者達を襲っていた。
その者は、すずなぎ。
そしてすずなぎを守るかのように戦う鎧がひとつ。
それは水滸の鎧……戦いを捨てたはずのシンであった。
無論それはすずなぎが作ったネオステージ上の偽者ではある。
本物のシンは只その様子を眺めていた。
多勢に無勢、傷つく水滸。
そんな水滸を、今度はすずなぎが守る。
シンはとっさに戦いに割って入ろうとするが、
すずなぎがそれを静止する。
シンに戦ってはなりませんと言い放ち。


場面が変わり、すずなぎの舞台は続く。
お導きを……何方かこの男にお導きを。
戦いに迷えしこの男にお導きを。
舞台上では、迷える水滸が佇んでいた。
そんな水滸に、天は二条槍を与える。
これは戦えという啓示。
何故!?戦わずして心の道を説いた水滸に、
何故また戦えというのか!?
ふと、水滸に向けられた照明が変わる。
その光の下映し出された水滸の姿は、
朱色に輝いていた。これは……血の色を表しているのか!?
水滸には……シンには戦いの意思があると言うことなのか?


舞台を見せられたシンは、必死に否定する。
そんな事はない。自分が戦いを選ぶはずがないと。
そんなシンにすずなぎは優しく語り掛ける。
真実です。戦士として立派なお姿ですと。
シンは聞き返す。何故まだ戦わなくてはならない?
すずなぎは、シンが優しいから、
その優しさが戦いに導いたのだと答える。
何故お前は喜び、何故お前は悲しみ、何故僕を守るのか?
シンはすずなぎに問う。
すずなぎには、シンが再び鎧を選ぶ姿が見えた。
だから喜ぶ。
乱れし現世に本来の平静を与えんが為にシンが立ち上がると思って。
その言葉に、シンは真っ向から否定する。
自分が鎧を選ぶ!?戦いを選ぶ!?
シンは解ってはいる。
鎧の流れが終わらないこと。
その流れに自分がまた巻き込まれようとしている事を。
だが、自分はすずなぎの期待に応えられないとシンは言う。
なんだかんだ理由をつけて、
必死に戦いから逃れようとするシン。
すずなぎは、人を信じる心を持つシンを、
命がけで守ると言うだけであった。
すずなぎの額から血が流れる。
そこまでして守って貰った者に喜びなどない!
シンにはすずなぎの思いが重かった(ギャグではないですよ
すずなぎはシン様の意思はお強い。
その意思、是非とも貫いてくださいませと言い残し、
敵の大群へと向かっていき……
あっさり無数の槍に突き刺されてしまう。
弱っ!……ってまぁ、これも全てすずなぎの演出ですけど。
槍に突き刺されたすずなぎの姿。
その姿に、シンの怒りは爆発する。
大群を飛び越え、すずなぎを救出するシン。


貴様らの促す未来がこれか!
ならばその未来、僕の手で変えてみせる!
武装ーっ!


輝煌帝伝説で戦士としてシンが失いかけていたもの。
シンが妖邪と戦ってこれた理由。
誰かの為に、誰かを護る為に戦うことを、
今回の件でシンは取り戻すことができた。
だが、その代償として……
そして、ふたぁーつ。
すずなぎを守る為、自ら武装してしまったシン。
その身に纏った……纏わりついたのは、
すずなぎが作りし怨念の鎧。
鎧に封じ込められたシンの目に涙が零れる。
自分が結局武装してしまった事……
そして、すずなぎに裏切られてしまった事……
シン優しさを利用し、騙し、
トウマに続き、見事シンを怨念の鎧に封じ込めたすずなぎ。
すずなぎの目的が成就されるまで、残り……3人。
次回『砕かれた自信』
次の主人公はシュウ。
シュウの正義は、果たしてすずなぎに通用するのだろうか?


とま、そんなわけで第2話ですが……
シンが輝煌帝伝説の頃から悩み続けた事に対してのひとつの答えが、
ようやく見つかった……と言ったところだろうか?
すずなぎが突き刺される前に言い残した言葉、
シンの強い意志を貫いてくださいと言う言葉。
もし、本当にシンが戦いたくないという強い意志を持っていて、
その意思を貫いていれば、こんな事にはならなかったであろう。
だが、シンの心の底に眠っていた、
本当に強い意志とは……やはり誰かを守ろうとする心だったのであろう。
輝煌帝伝説の序盤のように、戦う力を捨ててしまったら、
誰かを守れやしない……
優しい故に、力を持たなければならない……か……
しかし、自分の野望のためとは言え、シンを騙したすずなぎ。
いや、この場合、
シンの信の心(だからギャグじゃないですよ?)を逆手に取った。
って所だろうか。
どちらにしろ、役者よのう……すずなぎ。